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スターシップホールディングス

【未亡人の嘆き・・・M&Aの現場にて】

先日のこと。


石川県に本社のある会社の代表者が亡くなり今後の経営について悩みを抱えているのではという知らせが耳に入り代表電話に連絡を致しました。

住所が記載されている代表番号に電話をかけて呼び出し音が鳴りました。
呼び出すこと約20回ほど電話を取ってくれる気配がなく、外出中あるいはお昼休みかと思い、一旦電話を切ろうとした矢先、年齢を重ねたと思われる女性の声が受話器の向こうから聞こえました。

事務員の方なのか、どのような部署の方なのかもわからないため、現代表者に繋いでいただきたいと申し出ると、受話器の向こうの女性は一昨年に代表者が闘病の末亡くなり、後継者としてご子息が陣頭指揮を執り采配を振るわれたそうですが、ほどなくして病を患い他に経営できる方が見当たらず昨年末に廃業届を提出したと告げました。

お電話のその方は前代表者の奥様でした。


受注していた仕事は数社の外注先に引き取ってもらったそうで、今は粛々と清算業務に入っているとのことでした。

廃業手続きを既に数か月進めている中で見ず知らずの私からの電話に趣旨を伝えると、電話越しに「先祖代々続いていたこの生業を私の代で幕を閉じてしまうのがあまりにも心苦しい」とか細い声で何度も何度も声を絞り出し自責の想いを話しておられました。

今回当該企業を承継したいと検討している会社は承継後も屋号も社歴も残し社員とともに成長発展させていきたいと熱く語っていた若き40代の経験豊富な経営者です。

「人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に」・・・。と名言がありますが、ただただ悔やまれるばかりです。

先代のご冥福、ご子息の体調快方、奥様の無念が少しでも晴れますように。